美術館巡りと音楽と

主に東京近辺の美術館、企画展巡りの徒然を。できればそこに添える音楽を。

日本画

甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性

最近更新できていなかったが、美術展にはちょくちょく足は運んでいた。 しかし、なかなか文章に起こすのはパワーを使うので、それが出なかったのよね。 そんなわけで久しぶりの更新だが、東京駅直結のステーションギャラリーで開催されている甲斐荘楠音(か…

佐伯祐三 –自画像としての風景

日本人の画家の企画展も最近は足を運ぶようにしているが、ほとんどの場合めちゃくちゃいい。 青木繁のように早逝した画家も少なくないし、香月泰男のように戦争を経ても生き残り絵を描き続けられた画家もいる。 伝統的な慣習から解き放たれ始め、西洋絵画の…

没後200年 亜欧堂田善 江戸の洋風画家・創造の軌跡

なんでも同じだけど、知られていないから劣っているとは限らない。 殊エンタメにおいては知名度は必須とはいえ、アートの領域においてはそんなものは偶然性以外のなにものでもなくて、作品の本質を評価するものではない。 しかし、知られていないから劣って…

ふつうの系譜

この連休はひたすらゆっくりまったりしている。 元々遠出にあまり興味もないし、何か計画するとその通りにしたしないと気が済まなくなるタチなので、予定は立てずにその日その日で過ごしているが、強いて言えば趣味を謳歌したろ、という点くらいか。 音楽を…

生誕110年 香月泰男展

もう終わってしまったのだが、先日観に行った展覧会について。 香月泰男さんという人の回顧展で、昨年から全国巡回していたようだ。 私はこの人のこと自体知らなかったのだが、ちょいちょい足を運んでいる練馬区美術館だったし、個人に焦点を当てた企画展は…

絵画のゆくえ 2022

最近いまいち気持ちが盛り上がらず、あまり感情が動かない。 この3連休も何をするでもなく時間を過ごしてしまい、気がつけばもう最終日か。 まあ、こういう時は徹底だらだらすることが自分にとっていいと言うのは経験的にわかっているので、素直にだらだらし…

奥村土牛―山﨑種二が愛した日本画の巨匠 第2弾―

洋の東西を問わず最近ではさまざまな画家の絵を観るようにしているが、そうするとやはりこの画家さんの絵はなんか好きだな、と画家として好きというのが出てくる。 既に何人かいるが、その中の1人が奥村土牛という人だ。 初めて見たのは個人展ではない企画だ…

河鍋暁斎 ―躍動する絵本

元々いこうと思っていた先があったが、今日で前期展示が終了とわかったので、急遽予定を変更、太田記念美術館の河鍋暁斎展にいくことにした。 行った。 河鍋暁斎 ―躍動する絵本 私は河鍋暁斎が好きで、以前サントリー美術館で開催された企画展にも行って、そ…

速水御舟と吉田善彦―師弟による超絶技巧の競演―

おお 下書きのままなかなか進めなかったため終わってしまったが、とりあえず載せておこう。 なんでもそうだと思うが、凡そ表現と呼ばれるものについてはそのアウトプットが第一義なのは言わずもがなではあるが、作家の精神性というものも結構大事と言うか、…

福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧

私は先月後半は転職に伴う有給消化で、短いながらに悠々たる日々を送っていた。 と言いながら、割と日々予定があり、土曜は昼間は寝ていたが夕方は友人と音楽ライブ、日曜はまったりしつつ美術館へ(こちらもまた書かねば)、昨日は次の職場へ赴き午後からずっ…

蘇我蕭白奇想ここに極めり

私は現在転職に伴う有休消化により、少しくゆっくりした日々を送っている。 それで帰省もしようかしら、と言って旅に出てみたりもしているが、その一環で普段出向かない美術館にも行ってみようと足を伸ばしてみた。 そこで赴いたのが、名古屋にある愛知県美…

刀剣 もののふの心

都内で日本美術を専門的に扱っている美術館は何箇所かはあるのだけど、よく私が足を運んでいるのが恵比寿にある山種美術館である。 山崎種二さんの作ったところで、当時の日本画家とも交流があったそうなので、自身に送られた作品も含めて多く収蔵している。…

川瀬巴水 旅と郷愁の風景

日本人は西洋コンプレックスが強いと言われて久しいが、おそらく一定の年齢以上の人は染み付いている価値観の一つだろう。 若い子たちを見ているとそんなことはないし、むしろある層においては無関心ですらあるように思う。 芸術においても西洋美術がいかに…

大きな表現と細やかさ -葛飾北斎「冨嶽三十六景」×川端龍子の会場芸術

連休もはや3日が経ってしまった。 この間の過ごし方は、昼間は美術館に行って、ラーメン食べて買い物して帰って酒を飲むということを繰り返している。 明日は少し違うことをしようかしらと思ったのが昨日、したがって今日は少しく行動を変えてみる。 といっ…

コレクター福富太郎の眼

今日は久しぶりの展覧会、東京駅直結のステーションギャラリーで開催中の福富太郎という個人のコレクターの企画展へ。 日本人だと松方さんという方や、原三渓さんという人がいたりと、蒐集家として著名な人は何人かいて、過去海外のビュールレ?という人やそ…

百花繚乱 -華麗なる花の世界

この緊急事態宣言において、いろんなイベントごとも映画館も閉じたまま、美術館もどうなるかと言われたが、中には再会をするところもあって、私にとってはありがたい限りだ。 まだまだ閉館中のままのところは多いが、私が好きな美術館の一つ、山種美術館が時…

渡辺省亭 -欧米を魅了した花鳥画

すっかり桜も散って、殆どが葉桜となっている上野公園だが、緊急事態宣言解除を受けてか多くの人の出があった。 外国の人も観光なのかよく見かけたね。 かく言う私もウロウロしているわけだが。 そんな今日は芸大で開催されている渡辺省亭展へ。 コロナの影…

吉田博展 -東京都美術館

桜もすでに満開の上野、平日なのに人多いな、と思ったらすでに春休みの時分である。 修学旅行か何かか、中学生か高校生の子らもちらほら。 それにしても、美術館にいる女の子は可愛く見えるのはまあだいぶ気のせいだろうが、ともあれ絵もさることながらつい…

電線絵画展 -練馬区美術館

企画展の面白いところは、特定のテーマに沿った見方を提示してくれるので、私のような素人にも絵の見方をわかりやすく教えてくれるところだ。 絵はただの風景の私でも写真の代わりでもなく、作家により再構築された世界である。 それは色彩に限らず構図もそ…