美術館巡りと音楽と

主に東京近辺の美術館、企画展巡りの徒然を。できればそこに添える音楽を。

絵画のゆくえ 2022

f:id:back_to_motif:20220206200633j:plain

最近いまいち気持ちが盛り上がらず、あまり感情が動かない。

 

この3連休も何をするでもなく時間を過ごしてしまい、気がつけばもう最終日か。

 

まあ、こういう時は徹底だらだらすることが自分にとっていいと言うのは経験的にわかっているので、素直にだらだらしている。

 

で、美術館も行っているんだけど、なかなか書くまでに至らなかったがだいぶ間も空いているのでちゃんと書こうと。

 

先週若手?の注目アーティストの作品を集めた展覧会へ行ってきたのでそちらについて。

 

絵画についてはなかなか掴みきれていないため、まずは古典を漁っている段階だったが、だいぶ時代が近代に近づているので、せっかくならリアルタイムで追いかけるところも欲しいと言うわけだ。

 

そもそもどんな人がいるかも知らないので、そのきっかけになればこれ幸いである。

 

絵画のゆくえ 2022

SOMPO美術館で開催されている企画展で、FACEというコンクールの入賞者の作品を中心に展示しているものらしい。

 

全て現役のアーティストなのだが、割と系統もさまざまで、作家ごとに色も違うのが面白い。

【開催概要】

2013年に創設された公募コンクール『FACE』は、年齢・所属を問わない新進作家の登竜門として数多くの応募者を毎回迎えております。(中略)

本展は、FACE2019からFACE2021までの3年間の「グランプリ」「優秀賞」受賞作家たち12名の近作・新作約100点を展示し、受賞作家たちの受賞後の展開をご紹介します。また、当館所蔵作品となった「グランプリ」受賞作品2点も併せて展示します。

時代の感覚を捉えたFACE受賞作家たちの数年間に亘る作品によって、絵画のゆくえを探る展示となることでしょう。

【開催期間】

2022.01.14(金)- 02.13(日)

出典:【絵画のゆくえ 2022】 | SOMPO美術館

 

個人的見どころ

大小様々なコンクールはあるんだろうが、その傾向まではさすがにわらかない。

 

とりあえず作家ごとに展示はまとめられているので、一定の作風を見ていけるのは好みを見つけるにも非常にわかりやすくていいですね。

 

見ていく中で思ったのは、単純な技巧の凄さもあれば、絵そのものの雰囲気が好きというものが割とはっきり分かれるのが面白いところだ。

 

撮影もOKだったので、気に入ったものはいくつか撮ってきた。

 

ネット上でも画像があるかわからなかったしね。

 

いくつか気になったものをざっとご紹介。

f:id:back_to_motif:20220213101729j:plain

こちらは松崎森平さんの作品。

 

この人は黒をベースにステンドグラスのような絵を描いている。

 

金粉などもあしらわれて絢爛さもありながら非常に静かな画面でつい見入ってしまう。

 

都市部の道路沿いの景色を描いた作品も描いているが、その絵の風情なんかは非常にすきなんですよ。

 

写真に撮ると自分が写ってうまく撮れなかったので写真は撮っていないが、この人のセンスは好きだね。

 

画像は花の絵だけど、ガラス片なども使っているのか、キラキラしてとても綺麗でした。

 

 

f:id:back_to_motif:20220213101722j:plain

こちらは斉藤詩織さんという方の絵、ちょっとタッチがピーター・ドイクを彷彿とさせる。

 

全体にシュールな構図の絵が多く、またタイトルも哲学的なものなので、一体なんだこれはと考えながら見ている。

 

ちなみにこの絵のタイトルは『100%の安心』という。

 

植え込みの向こうからおばはんが無表情にこちらを見ているわけだが、なんだこれはと。

 

この人の絵はコミカルで日常的な感じがある一方で、どこか異世界を感じさせる。

 

 

f:id:back_to_motif:20220213101743j:plain

また、こちらは奥田文子さんという人の作品。

 

元々旅に出ては風景を描くというのをやっていたらしいが、このコロナ禍でそれができなくなってしまったため、ごく身近な風景を描くようになったのだとか。

 

そして、ふとその世界を旅しているような夢想をかたちにしたのがこの一連の作品らしく、よく見ると小さな人がちょこんと歩いている。

 

私が面白いなと思ったのが、結構私自身も風景の中にポツネンと自分がそこを歩いているようなことを考えることがよくあって、まさにこのかこの絵画に描かれている世界を無双したことがあったんだよね。

 

飛行機に乗ったときに、ふと見下ろした山の中腹を漠然と歩いてみたり、小さくなって水溜りを大きな湖のようにして泳いでみたり、そんなことを昔よく思い描いたものだ。

 

日常の中にもまだまだ気がついていない、見えていないものがたくさんあるよな、というようなことも考えられるし、冒険心があればどんな世界もたのしいぜ、という捉え方もできるかもしれない。

 

 

f:id:back_to_motif:20220213101804j:plain

そしてこちらはあえて特定の絵ではなくいくつかが入るように撮ってみました。

 

高見基秀さんという人で、この人の作風はこれでわかると思うけど、まるでプラモデルのジオラマみたいな絵を描いており、その上で表現したいのは恐怖とのこと。

 

無関心の有り様をどう炙り出すかという表現ということで、ここもやはり哲学的な観点もある作品だ。

 

全体に黒バックで象徴だけを切り出した感じで、第一印象はデイビッド・リンチっぽいなと思ったが、それは『lost Highway』の印象だったのだよね。

 

他の画家の作品も面白いものがたくさんあって、現役世代のこの人たちの絵もまたチェックしてみよう。

 

絵画のゆくえと音楽と

若手のアーティストの、それぞれの勢いや作家性もみえて面白かったが、そこに合わせるならやはり彼らだろう。


www.youtube.com

デビュー当時はアバンギャルドでハードコア、ひたすらアングラ臭漂う存在だったのが、今では自主企画イベントも立ち上げ、さらに音楽性自体も相変わらずコアにも関わらずなぜか不思議な共感性を持った音楽を展開しているGEZANである。

 

ヴォーカルのマヒトは詩を書いたり、ソロでも全く違う音楽をやったり、映画を撮ったりと、表現欲求の塊みたいな人だ。

 

かなり乱暴な言葉や攻撃的な表現も多いけど、実はものすごく純粋な人なんだろうなということは歌詞を見ていけば感じるところだろう。

 

私はたまたま彼らをデビューしたばかりで知って、初期の作品は聞いていた。

 

それらでは、とにかく世の中全てが気に入らないと言わんばかりのトゲトゲどころではない感じだったけど、今はだいぶ違うよね。

 

本質は変わってないけど、敵を作る表現から周りを巻き込む表現に変わったという感じだろうか。

 

いずれにせよ若い奴らがどんどん時代の中心に向かっていかないと、未来なんてないからね。

 

まとめ

どんな世界にも権威はあって、若手中心だと反骨心を持って立ち上げたものであっても、いずれそれが権威になって反骨の対象になっていく。

 

それが時代の変化というものだろうし、だからこそ時代は変わるのだ。

 

お前のための時代ならお前が帰ろ、というのはTha Blue Herbの曲の一節だが、そうやって何か少しでもいいことが増えていけばいいよね。

 

若さは武器だ。