美術館巡りと音楽と

主に東京近辺の美術館、企画展巡りの徒然を。できればそこに添える音楽を。

パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ

現在退職に伴い、ちょっとずつ有給を消化している。 別に会社に行ってももうやることはないのだけど、上司の不手際が満載なので急激に何か降ってきそうで面倒を予感しているが、あえて手を出していない。 どっちにしろ来月から急になんて無理なんだから、せ…

インド細密画 ー実は馴染みのある芸術作品

現在有給も消化しているので、3連休と抱き合わせて5連休にした。 最近の趣味である自転車を乗ることをやってみようと思い、ちょっと遠出している。 府中美術館は日本美術を中心に、企画色豊かな展示をしているのでちょくちょく行くのだけど、普段は自宅から1…

甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性

最近更新できていなかったが、美術展にはちょくちょく足は運んでいた。 しかし、なかなか文章に起こすのはパワーを使うので、それが出なかったのよね。 そんなわけで久しぶりの更新だが、東京駅直結のステーションギャラリーで開催されている甲斐荘楠音(か…

佐伯祐三 –自画像としての風景

日本人の画家の企画展も最近は足を運ぶようにしているが、ほとんどの場合めちゃくちゃいい。 青木繁のように早逝した画家も少なくないし、香月泰男のように戦争を経ても生き残り絵を描き続けられた画家もいる。 伝統的な慣習から解き放たれ始め、西洋絵画の…

マリー・ローランサンとモード

現代は女性の時代などと言われて久しいが、得手してスローガンにされる事柄は実現されていないからこそスローガンとなるものである。 当たり前になっていることは殊更いう必要なんてないからね。 それでも、昔と比べればだいぶマシになったところはあるにせ…

没後200年 亜欧堂田善 江戸の洋風画家・創造の軌跡

なんでも同じだけど、知られていないから劣っているとは限らない。 殊エンタメにおいては知名度は必須とはいえ、アートの領域においてはそんなものは偶然性以外のなにものでもなくて、作品の本質を評価するものではない。 しかし、知られていないから劣って…

ヴァロットン 黒と白

コロナが少し落ち着いて以降、音楽エンタメにおいては海外アーティストの来日もバンバン増えており、嬉しい限りだ。 そして美術館においても、海外の美術館とのやりとりも再開できたのか、様々な企画展が開催されており、こちらも非常に嬉しい限りである。 …

鉄道と美術の150年 −時代の変化の渦中

現代においてはただの芸術の一つとして、ある種現実社会から切り離されたようなところにあると認識されているのかな、という絵画だが、かつては新聞のように最新情報を伝えるメディアだったり、教養を示すものだったり、あるいは神の言葉を伝える媒介だった…

印象派からエコール・ド・パリへ スイス プチ・パレ美術館展

最近あまり書けていないな、と気づいたのでちゃんと書く。 月に何度かはあいかわらず美術館に行っては絵を見てふむふむといっているのだけど、まとめるのがなかなか億劫になってしまっている。 頭の中の休養のような感じで観ているので、言語化にいたらない…

「沖縄復帰50年と1972」「近代日本のメディアにみる怪異」

昨日はふとネットで見かけた『近代日本のメディアにみる怪異』という企画展へ。 ポスターで浮世絵が使われており、それこそ昔はこの浮世絵がニュースメディア的に使われていたというのがあるため、そんなものを期待していた。 またタイトルも,私はメディア…

ふつうの系譜

この連休はひたすらゆっくりまったりしている。 元々遠出にあまり興味もないし、何か計画するとその通りにしたしないと気が済まなくなるタチなので、予定は立てずにその日その日で過ごしているが、強いて言えば趣味を謳歌したろ、という点くらいか。 音楽を…

生誕110年 香月泰男展

もう終わってしまったのだが、先日観に行った展覧会について。 香月泰男さんという人の回顧展で、昨年から全国巡回していたようだ。 私はこの人のこと自体知らなかったのだが、ちょいちょい足を運んでいる練馬区美術館だったし、個人に焦点を当てた企画展は…

絵画のゆくえ 2022

最近いまいち気持ちが盛り上がらず、あまり感情が動かない。 この3連休も何をするでもなく時間を過ごしてしまい、気がつけばもう最終日か。 まあ、こういう時は徹底だらだらすることが自分にとっていいと言うのは経験的にわかっているので、素直にだらだらし…

奥村土牛―山﨑種二が愛した日本画の巨匠 第2弾―

洋の東西を問わず最近ではさまざまな画家の絵を観るようにしているが、そうするとやはりこの画家さんの絵はなんか好きだな、と画家として好きというのが出てくる。 既に何人かいるが、その中の1人が奥村土牛という人だ。 初めて見たのは個人展ではない企画だ…

河鍋暁斎 ―躍動する絵本

元々いこうと思っていた先があったが、今日で前期展示が終了とわかったので、急遽予定を変更、太田記念美術館の河鍋暁斎展にいくことにした。 行った。 河鍋暁斎 ―躍動する絵本 私は河鍋暁斎が好きで、以前サントリー美術館で開催された企画展にも行って、そ…

速水御舟と吉田善彦―師弟による超絶技巧の競演―

おお 下書きのままなかなか進めなかったため終わってしまったが、とりあえず載せておこう。 なんでもそうだと思うが、凡そ表現と呼ばれるものについてはそのアウトプットが第一義なのは言わずもがなではあるが、作家の精神性というものも結構大事と言うか、…

福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧

私は先月後半は転職に伴う有給消化で、短いながらに悠々たる日々を送っていた。 と言いながら、割と日々予定があり、土曜は昼間は寝ていたが夕方は友人と音楽ライブ、日曜はまったりしつつ美術館へ(こちらもまた書かねば)、昨日は次の職場へ赴き午後からずっ…

番外編2 -富山をウロウロする

前日に引き続き北陸にて、今日は富山県である。 前日に入り、例によって夜はフラフラと飲み屋を探す。 私の方針として、必ずしも特産物を食べたいわけではなく、その土地土地の地場のお店であれば良いのだ。 むしろ観光化された名産よりも、よほどその方が美…

番外編1 -兼六園をウロウロする

現在絶賛有給消化中のため、思いつきで実家からの足で金沢へ。 昔に行ったことがあったかもしれないが、記憶にはないエリアである。 金沢は石川県にある、というのはご存知だろうか、などと言ったら怒られそうだが、しれっと金沢と冒頭から書いてしまった。 …

蘇我蕭白奇想ここに極めり

私は現在転職に伴う有休消化により、少しくゆっくりした日々を送っている。 それで帰省もしようかしら、と言って旅に出てみたりもしているが、その一環で普段出向かない美術館にも行ってみようと足を伸ばしてみた。 そこで赴いたのが、名古屋にある愛知県美…

刀剣 もののふの心

都内で日本美術を専門的に扱っている美術館は何箇所かはあるのだけど、よく私が足を運んでいるのが恵比寿にある山種美術館である。 山崎種二さんの作ったところで、当時の日本画家とも交流があったそうなので、自身に送られた作品も含めて多く収蔵している。…

川瀬巴水 旅と郷愁の風景

日本人は西洋コンプレックスが強いと言われて久しいが、おそらく一定の年齢以上の人は染み付いている価値観の一つだろう。 若い子たちを見ているとそんなことはないし、むしろある層においては無関心ですらあるように思う。 芸術においても西洋美術がいかに…

風景画のはじまり コローから印象派へ

三連休てのは素敵だな、と思っっていた先々週。 オリンピック開催中、コロナ絶賛流行中、灼熱の夏場進行中、そして台風接近中と騒がしいのは夏らしくて良いのか。 私は世相もどこ吹く風にマイペースに過ごしている。 夜は楽しみにしている配信があったものの…

大きな表現と細やかさ -葛飾北斎「冨嶽三十六景」×川端龍子の会場芸術

連休もはや3日が経ってしまった。 この間の過ごし方は、昼間は美術館に行って、ラーメン食べて買い物して帰って酒を飲むということを繰り返している。 明日は少し違うことをしようかしらと思ったのが昨日、したがって今日は少しく行動を変えてみる。 といっ…

STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示

この展覧会は先週言ったんだけど、文章を途中まで(約2,000字)書いたところで誤って別ページへ飛んで全て消えてしまったので、意気消沈した次第である。 イヤほんと、デジタルって奴は便利だけど残酷だよね。 もっとも、考えて見ればこのPCが既に6年以上経…

コレクター福富太郎の眼

今日は久しぶりの展覧会、東京駅直結のステーションギャラリーで開催中の福富太郎という個人のコレクターの企画展へ。 日本人だと松方さんという方や、原三渓さんという人がいたりと、蒐集家として著名な人は何人かいて、過去海外のビュールレ?という人やそ…

百花繚乱 -華麗なる花の世界

この緊急事態宣言において、いろんなイベントごとも映画館も閉じたまま、美術館もどうなるかと言われたが、中には再会をするところもあって、私にとってはありがたい限りだ。 まだまだ閉館中のままのところは多いが、私が好きな美術館の一つ、山種美術館が時…

絵画鑑賞におけるライブ性の価値 -ルノワール展(2016)の思い出

この連休では観たい展覧会もたくさんあったのだが、この体たらくでそれも叶わず、なんなら体調不良でここ2日は半分以上寝ていたので、この連休なんやねん、という感じである。 せめてもの成果は部屋が片付いたことと、しっかり寝られたことだろうか。 日時…

モネはマイブラ

私の中で、最初に音楽と絵が結びついたのは上野で開催されていたモネ展の大きな垂れ幕を見たときだった。 おそらくもう5年以上前だと思うが、その頃から絵はちょくちょく観に行っていたものの、当時はなんとなく眺める程度だった。 暇だからたまにいくという…

モンドリアン展 純粋な絵画を求めて

コロナ禍とあって、平日街中は働く人たちも含めてかなり人の出は少ない。 休日の方が多いのではないか。 出社しても客先はリモートということが増えているので、とりあえず会社に来させられるサラリーマンの悲哀よ。 そのおかげで、平日休みだと快適で良いで…